『満願』

読書

簡単な本紹介

この本は6個の短編小説からなる米澤穂信さんの著書であり、山本周五郎賞を受賞したミステリー短編集の金字塔と言えるような作品です。
※山本周五郎賞: すぐれた物語性を有する小説・文芸書に贈られる文学賞(wikipedia)

私は正直この本を読むまでミステリーの短編を読んだことはなく、
「ミステリーはある程度の長さがないと、ミステリーの醍醐味である謎解きなどが単調になり読んだ後の爽快感が味わえない…..」
「短編だと登場人物なども少なくなるし、ストーリー展開も予想しやすくすぐに飽きてしまうのでは?」
などミステリーは長編に限るっ!と勝手な先入観を持ち短編ミステリーというジャンルを避け続けていました。

ただ読んでみればわかるんです。
1つ1つの作品の完成度の高さ、物語の構成力、読者を最後まで引き離さないストーリー展開!!!!
本当に著者のミステリー作家としての能力をまざまざと感じることができます。

この作品は短編だからこそ、
「ミステリーは興味あるけど長編になると時間がかかるしちょっと抵抗があるなぁ」という人や
この本を読むまでの私のように「ミステリーは長編に限る!」という考えの人にぜひ読んでほしいです!!!!
作品の世界観に没入すること間違いなしで、読み終わった後もきっと爽快感に包まれ余韻にじっくりひたることになると思いますwww。
また上記の考えを持った人も読み終わった後には私と同じように短編ミステリーへの見方が大きく変わると思います!

個人的におすすめの作品

作中の6つの短編はすべて読んで非常に面白い作品なので、時間のある方はもちろんすべて読んでほしいと思います。


ただ、時間がない方やあまり読書習慣がないという方にもぜひこの作品の面白さを味わってほしいので、私が読んで特に面白いと思った2作品を挙げさせてもらいます。

1つ目は『万灯』という作品で、以下に簡単にあらすじを述べます。
いきなり”私は裁かれている”という書き出しから始まり、一人の男が自らの犯した人殺しの罪を告白します。
その罪は決して誰にも露見するはずはなく、本人もそのまま裁かれることなく元の生活へと戻っていくことができるはずでした。
ただ彼は、予想もできない意外なものから裁かれることになり、苦悩に苛まれることになるのです……

この作品は、バレるはずもない罪でなぜ彼が裁かれることになったのか、何によって裁かれることになったのかなど非常に先の読めない展開の中で、最後にその謎が解明されるのですが、いい意味で予想が裏切られミステリーによくありがちな読んだ後のスカッと感を楽しむことができました。
最初の書き出しは短いながら、急なその一文で「えっっっいきなりなに?!?!」と読者を引き込んでしまう。
小説は書き出しが命という言葉もありますが、この書き出しを見ても著者の作家としての能力の高さを感じることができるいい作品だと感じました。

2つ目に紹介するのは『関守』という作品です。
この作品は、都市伝説を題材とした本を出版するために一人のライターが、ネタを探していたところ、ある峠で交通事故がいくつも発生して多数の死者を出しているという話を聞きます。

事実確認と本のネタ集めを兼ねて現地に出向き、地元の人にその事故についての詳しい情報を聞き出します。

ただの心霊現象だとか、道路環境などの事情が関係しているのだろうぐらいの考えだったライターでしたが、地元の人との話を聞いていくにつれて、事故の真相が徐々に明らかになっていき、最後は大どんでん返しと言ってもいいほどの終わりを迎えます。

この作品は最後の数ページを読んだ時その結末にさまざまな意味で震え上がりました。(読んだらきっとわかってもらえると思うので、さまざまな意味でと濁しておきますww)

これらの2作品はここ最近読んだミステリーの中でも、非常に完成度が高く、読んだ後の爽快感も格別だったのでぜひ読んでこの気持ちよさを味わってほしいです!
短編を読んだとは思えないほどの読み応えがあるので、これらを1冊の本で読めるなんて贅沢すぎって思えますよwww🤣

良い読書ライフを☺️!!!!!!

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